遺言信託サポート:事例紹介

事例1

Aさんのケース

夫婦の間に子供がいない

  • 年齢68歳(入会当時)
  • 性別男性
  • 既婚

相談内容・問題点

私には子供はおらず、妻と二人暮らしをしています。両親はすでに他界しているので、私が死亡したときは妻以外に自分の弟にも私の財産が相続されると聞きました。私は弟とはあまり交流がなく、弟が経済的に困っているという事情もありませんので、弟へ相続させる必要性が特に感じられません。一方、妻は私が死亡したら子供のいない中で一人残されてしまいます。それが心配なので、妻に全て相続させたいと考えています。どうしたらよいでしょうか。

解決策のご提案

たしかにAさんの親族関係の場合、民法では奥様に4分の3、弟様に4分の1の割合でAさんの財産が相続されることになります。
もっとも、この民法で定められた相続分(法定相続分)は遺言や相続人間の遺産分割協議がない場合に適用されるもので、Aさんが遺言を作成しておけば適用されません。
また、本件においては弟様の遺留分を考慮する必要がないので、遺言のとおりの相続分を残すことができます。遺留分とは、民法で定められている相続人が最低限相続できる財産のことですが、兄弟姉妹には遺留分が認められていません。
したがって、Aさんには、「私の一切の財産を妻へ相続させる。」という遺言を作成しておくことをご提案いたします。

事例2

Bさんの場合

先妻の子と後妻がいる

  • 年齢71歳(入会当時)
  • 性別男性
  • 既婚

相談内容・問題点

私には離婚した先妻との間に子供が2人おりますが、このたび再婚しました。そこで、お尋ねしたいのですが、①私が死亡した後の相続関係はどのようになるでしょうか。
②また、今後気を付けるべき点はありますでしょうか。

解決策のご提案

①まず、相続関係についてご説明いたします。

相続においては法律婚が重視されているので、先妻様には相続権はありません。他方、先妻様との間のお子様は、Bさんのお子様に変わりはないので、相続権があります。
そして、このたびご結婚された現在の奥様は配偶者としての相続権があります。
したがって、先妻様のお子様と現在の奥様が相続人となります。
なお、相続人が配偶者と子の場合の法定相続分は各2分の1ですので、本件において現在の奥様に2分の1、先妻様のお子様(2人)に各4分の1ずつとなります。

②次に、今後気をつけていただきたい点についてご説明いたします。

Bさんがお亡くなりになった場合、現在の奥様とお子様で法定相続分は2分の1ずつとなります。 もしお互いの関係が悪いのであればなおさらですが、たとえ今は良好であっても、相続開始時にはどうなっているか分かりません。その時に相続分について争いになることも十分に考えられます。
そこで、あらかじめ遺言を作成して相続分を決めておかれることをおすすめいたします。 なお、遺言は何度でも書き換えることができますので、お互いの関係やBさんのお気持ちが変われば相続分を変えることができます。

事例3

Cさんの場合

長男の嫁に財産を分けてあげたい

  • 年齢86歳(入会当時)
  • 性別女性
  • 既婚

相談内容・問題点

私には寝たきりの夫がおり、介護はもっぱら同居していた長男の嫁がしてくれていました。彼女は、長男が他界した後も引き続き夫の介護をしてくれています。長女もこれに甘えて私たちを見舞いに来ることもありません。
私たち夫婦は、毎日介護してくれている長男の嫁に大変感謝しており、夫が死亡したときは彼女に相続財産の一部を残すことができればと考えています。何か良い方法はないでしょうか。

解決策のご提案

Cさんの旦那様が亡くなられたとしても、ご長男様の奥様は相続人ではないので、そのままでは何も残すことはできません。
そこで、ご長男様の奥様へ「相続財産の一部を遺贈する」旨の遺言を作成することをおすすめいたします。
もっとも、本件においてはご長女様が相続人としていらっしゃいます。子には遺留分(事例1参照)が認められていますので、ご長女様の遺留分に配慮した遺言を作成されることが、後々の相続争いを予防する観点から重要となります。
具体的には、ご長男様の奥様(Cさん)とご長女様が相続人となる本件の場合、遺留分は相続財産の各4分の1となります。そこで、ご長女様の遺留分を除外した、相続財産の4分の3の範囲内でご長男様の奥様への遺贈分をお決めいただき、その旨の遺言を作成されることとなります。

事例4

D1さんの場合

内縁の妻への遺贈をしたい

  • 年齢71歳(入会当時)
  • 性別男性
  • 独身

相談内容・問題点

私は、結婚はしていませんが長期間寝食を共にしている女性(D2)と私が所有する自宅で同居しています。他方で、離婚した先妻との間に子供がいます。私が死亡したときD2に対して相続財産を残すことができるでしょうか?残すことができないとすると、D2はすぐに家から出ていかなければならないのでしょうか?

解決策のご提案

相続においては法律婚が重視されていますので(事例2参照)、D2様のような、いわゆる内縁の妻といわれる方には相続権はありません。
そこで、D2様へ「相続財産の一部を遺贈する」旨の遺言を作成されることをおすすめいたします。
もっとも、本件においては先妻様との間にお子様が相続人としていらっしゃいます。子には遺留分(事例1参照)が認められていますので、お子様の遺留分に配慮した遺言を作成されることが、後々の相続争いを予防する観点から重要となります。なお、先妻様には相続権はありませんので(事例2参照)、先妻様に関しては遺留分を考慮する必要はありません。
具体的には、先妻のお子様が相続人となる本件の場合、遺留分は相続財産の2分の1となります。そこで、先妻のお子様の遺留分を除外した2分の1の範囲でD2様へ遺贈する内容の遺言を作成されることとなります。
したがって、ご自宅の評価額が相続財産の2分の1の範囲内であれば、遺言によりご自宅をD2様へ残すことができ、すぐに出ていかなければならない事態を避けることができます。
これに対し、ご自宅の評価額が上記範囲を超えてしまう場合は、別の方法を検討しなければなりません。ご事情をさらに詳しくお伺いした上で、場合によっては弁護士等の専門家へのご相談をおすすめすることもあり得ます。

事例5

Eさんの場合

会社を経営

  • 年齢71歳(入会当時)
  • 性別男性
  • 既婚

相談内容・問題点

私は経営する株式会社の100パーセント株主で、現在のところ事業承継は考えていませんが、いつ何が起こるか分かりません。私が死亡した後の会社経営が心配です。ちなみに私には亡き妻との間に長男・次男・長女がおりますが、次期社長には長男が適任だと考えています。

解決策のご提案

現在お持ちの自社株も遺言を作成しておかないと法定相続分に従い分配されてしまいますので、お子様に3分の1ずつ相続されます。そうすると、株式会社の意思決定に必要な議決権を確保することができず、会社経営が混乱するとともに、相続人間の争いにつながるおそれがあります。
そこで、ご長男様へ「私が所有するすべての自社株式を相続させる」旨の遺言を作成されることをおすすめいたします。
もっとも、株式の評価額は高額になることが多いため、以下の二点につき注意をしていただく必要があります。
まず、遺留分について配慮いただく必要があります。具体的にはお子様が相続人となる本件の場合、遺留分は相続財産の2分の1となり、それを3人で分けるので、一人分は6分の1となります。そこで、株式の評価額をご次男様・ご長女様の遺留分を除外した3分の2の範囲になるように調整していただく必要があります。
次に、相続税を納付するための現金をご長男様に残しておく必要があります。考えられる対策としては、生命保険金の受取人をご長男様にしておく等があります。以上のとおり、遺留分に配慮する必要がありますので、相続財産となる預貯金をご長男様にあまり残せない本件において、受取人の固有財産となる生命保険金は有効な対策となります。

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