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終活とは? 必要な準備やポイントなど、完全ガイド

人生100年時代。日本人の平均寿命はこの70年で30歳(直近30年では5歳)も伸び、今後もこの長寿化の傾向は続くものと予測されています。寿命が長くなった分、高齢期の人生を豊かにする工夫が必要になっていると言えそうです。

何を考え、何を対処しておけばよいか。少子化、家族関係の変化、情報社会の進展などを背景として、かつては問題にならなかったようなことに備えなければならない必要が生じています。

今回紹介する終活もその一つと言えるでしょう。

終活とは

終活とは、「人生の終わりのための活動」の略語です。

人は誰でも必ず最後に死を迎えます。自らの人生を総括し、大事な情報を整理し、必要な準備をしておくことは、いつか来るそのときを悔いなく迎えるために、また遺された家族に過大な負担をかけないために、有益なことと考えられます。

そもそも終活という言葉が使われ始めたのは2009年頃からのようです。2010年の新語・流行語大賞にノミネートされ、2012年の新語・流行語大賞でトップテンに選ばれました。今ではすっかり市民権を得たように感じられます。

この言葉が普及することとなった背景には、家族関係と価値観の変容があると言われています。日本社会は急速に少子高齢化が進んでおり、高齢者の増加に対して、それを支える子ども世代はどんどん減少しています。

かつては老後の親を複数の子が分担して支えることができましたが、今やそれは望めません。むしろ子どもが一人しかいない、あるいは子どもがいないという高齢者が増えており、子ども世代に大きな負担をかけられない状況になっています。

また、これから後期高齢者となっていく団塊の世代は、それ以前の世代と比べると個性を重んじる傾向があり、自分らしい最期を迎えたいという意識が高まっているとも言われています。周囲に迷惑をかけずに、自分らしく人生を終わるための準備をする活動=終活という言葉が広く受け入れられるようになったのは自然の成り行きだったのかもしれません。

終活のおすすめ!メリットとは

なぜ、終活が注目を集めるようになったのでしょうか。

それは、前述した時代背景のもと、以下のメリットがあったからだと思われます。

1.遺された家族に負担をかけないようにする

終活を行う最大のメリットがこれです。核家族化が進む中、離れて暮らす親が普段どのような生活を送っているのかを知らない子どもは少なくありません。そのような状況で親が急に亡くなった場合、誰に連絡したらよいのか、どのように葬儀や埋葬をしたらよいのか、遺品をどのように扱ったらよいのか、財産がどのようになっているのかなどについて、子どもは一から情報を収集しなければなりません。人が亡くなった直後というのは、それでなくても待ったなしの作業や喪失感で余裕がない状況ですので、そのような情報収集や慣れない手続きを行うのは思った以上に大変なものです。終活によって、自身の死後必要となる情報を残しておくことで、遺された家族は、この負担をかなりの程度軽くすることができます

2.不安を解消し、自分の今をよりよく生きる

自身にとってのメリットといえるのがこれです。皆さんは、日々の生活において、もやもやした不安を抱えていませんか。書き出してみると意外に不安の種は多くなかったということに気が付きます。それらに対処することで、今の生活にエネルギーを傾けることができるというのも終活のメリットとして見逃せない点といえるでしょう。

終活でやるべきこと

終活でやるべきこととして代表的な事項は次の1.から5.までの5つですが、今回は、忘れがちな重要事項として6.を加えています。

1.エンディングノート

終末期から死後に備えて自身の情報や葬儀・納骨先等の希望を書き留めておくノートのことです。これを残しておくことで、遺された家族は情報収集や各種手続きをスムーズに行うことができます。

2.遺言書

財産の配分に関する希望をエンディングノートに書いても実現が保証されるわけではありません。自分の財産を自分の意思にそって遺すためには法律で指定された様式に則った遺言書を書かなければなりません。

3.お葬式

一般にお葬式は、遺された家族が故人に最後のお別れをするために執り行われるものですが、最近は生前に自分のお葬式を準備する方も増えています。自分らしいお葬式を行いたい、あるいは家族に負担をかけたくないのであれば、自身のお葬式を生前予約しておくか、エンディングノートに希望をしたためておかれるとよいでしょう。

4.お墓

お墓は、守る人(承継者)がいることで維持されます。そのため、お墓の承継者がいない方は、墓じまいを考える必要があります。また、承継者がいる方でも、先祖代々のお墓が遠方にある場合は、改葬(お墓の引っ越し)を行ったほうがよいかもしれません。いずれにしても放置していると親族の誰かにしわ寄せがいくことになりかねませんので、早いうちに対応しておかれたほうがよいでしょう。

5.生前整理

元気なうちに身辺をある程度片付けておくことを言います。亡くなった後に遺品があまりに多いと、遺された家族は何を残して何を処分したらよいのか、その仕分けに多くの時間を割かれるばかりか、費用面においても大きな負担を強いられることになります。また、生前に身の回りの整理を行うことで、自身も身軽になり、すっきりとした気持ちで日々の生活を送ることができます。

6.いざというときに頼れる存在を確保しておくこと

自身の死後の準備をどれだけ入念に行っても、それを実行してくれる人がいなければ、意味がありません。子どもがいない世帯が増えている昨今、自分の意思や希望を託せる存在を確保しておくことは、終活において実は一番重要なことかもしれません。

 

以上、終活でやるべきことを簡単に紹介してきましたが、この中でも特に、1.エンディングノート、2.遺言書、6.いざというときに頼れる存在を確保しておくことについて、次章以降でもう少し掘り下げて解説します。

エンディングノートのポイント

エンディングノートは、遺言書と違い法的効力を持ちません。そのため、死後の手続きに必要となる情報を書き残すという気持ちで書かれることをおすすめします。エンディングノートを書こうとして挫折している方は少なくありません。あれこれたくさん書こうとせず、まずは最低限の項目について整理することから始めるのをおすすめします。

では、最低限残しておきたい情報とは何でしょうか。前述しましたが、エンディングノートの一番の目的は、遺された家族の負担を軽くすることです。そうすると、何を書くべきかは自ずと決まってきます。下記の5つの項目について、次の点に注意して書いてみてください。

1.誰に連絡して欲しいか

普段からある程度家族・親族と連絡をとっており、その情報が共有されているようであれば、この項目は記入不要かもしれません。しかしながら、家族・親族と疎遠になっている、あるいはエンディングノートを家族・親族以外の人に託すということであれば、自身が亡くなったときに誰に連絡して欲しいのか明記しておく必要があります。

2.財産の情報

預貯金、不動産、株式・国債・投資信託等の金融商品、保険等に関する情報を整理して記入しましょう。特に保険は、相続の対象とならないことが多いため、きちんと伝えておかないと請求漏れに繋がりやすいので注意が必要です。財産とはやや異なりますが、定期的に手数料がかかるクレジットカード等の情報も書いておかれるとよいでしょう。

3.葬儀の情報・希望

誰に、どのように執り行ってもらいたいかを記入しておきましょう。誰を喪主として、どこの場所で、どのくらいの費用で、どの葬儀会社で葬儀を執り行いたいのか、希望があれば記入しておき、遺影に用いて欲しい写真があれば、エンディングノートと一緒に託すとよいでしょう。葬儀の生前予約を行っている場合は、その情報を書いておけばほぼ足りると思われます。

4.お墓の情報・希望

お墓がある方は、そのお墓と菩提寺の情報を、お墓がない方は、どのような埋葬方法(樹木葬、散骨、納骨堂、合祀等)を希望されるのか、費用や場所等も含め、記入しておきましょう。遺族が菩提寺と異なるお寺で戒名をもらってしまい、先祖代々のお墓に納骨するためにもう一度菩提寺に戒名をつけ直してもらったなどという話もありますのでご注意ください。

5.遺言書のこと

遺言書を作成している場合は、それを適切に伝える必要があります。特に自筆で遺言書を残している場合は、公正証書での遺言に比べ、発見されない可能性が高くなります。せっかく作成した遺言も、内容が実現されなければ意味がありません。遺言があるのかないのか、あるならばどの方式か(自筆証書か公正証書か)を記入しておきましょう。

 

以上が、エンディングノートを書くときのポイントですが、大事な情報や希望が書き留められたノートもそれがしかるべき人の手に渡らなければ、ただの紙切れになってしまいます。つまり、エンディングノートを託す相手を確保しておくことが、実はノートを書くことと同じくらい、あるいはそれ以上に重要なことなのです。この点、意外と忘れがちなことですので、しっかりと念頭に置いた上でエンディングノート作成に取り掛かりましょう。

遺言書を書くときのポイント

遺言書は、あなたが築いた財産を後世にどのように遺すか指定するために書くものです。遺言は、満15歳以上で判断能力があれば誰でも作れますが、裏を返せば判断能力がなくなってしまうと作成できなくなります。

大切な人に財産を遺したい気持ちや遺言を書いたほうがよいと思われる状況があるのでしたら、思い立ったときに一度書き上げてしまうべきです。後に気持ちが変わったら書き直せばよいだけのことですので。

ただし、作成した遺言が無効となったり実現不能となったりしないように注意すべき事項がありますので、以下で特に重要な3つのポイントをお伝えしたいと思います。

1.自筆証書にするか公正証書にするか

遺言書の一般的な方式としては3種類ありますが、その中でよく用いられるのは「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類です。

「自筆証書遺言」は、その名のとおり遺言者自らが自筆で記す遺言のことです。費用をかけずに比較的簡易に作成できますが、法律に則った書き方をしていないと無効になってしまいます。

「公正証書遺言」は、公証役場の公証人に関与してもらい、公正証書として残す遺言のことです。公証人という法律の専門家が遺言を残す人の意思や遺言書の文言をチェックしますので、遺言書が無効となるリスクを可能な限り低くすることができますが、作成にあたっては費用がかかります。

自身の死後に無用な争いを招かないようにするには、専門家が意思確認を行う公正証書遺言がおすすめです。しかし、まずは一度書き上げることを優先するならば、自筆証書遺言を作ってみるのがよいでしょう。

なお、2018年7月に相続法が改正され、自筆証書遺言に関するルールが変わりました。特に2020年7月から法務局が自筆証書遺言を保管してくれるようになり、以前に比べ、自筆証書遺言の弱点(紛失・改ざんのリスクや検認の手間等)が改善されましたので、その制度を利用してみるのもよいでしょう。

2.遺言執行者を指定する

遺言を残すメリットの一つとして、相続人全員の同意を得ずに(相続人全員に実印の押印と印鑑証明書の提出を求めることなく)手続きできるということがあります。

そのためには、遺言書の中で遺言執行者を指定する必要があります。遺言執行者とは、遺言の内容を実現するためにさまざまな手続きを行う者のことです。遺言執行者は、相続人・受遺者(遺言で財産を遺された人)の代表として、単独で預貯金や不動産等財産の解約払戻しや名義変更等の手続きを行うことができます。特に相続人以外の人に財産を遺そうとするときは必ず遺言執行者を指定しておきましょう。

なお、遺言執行者には、相続人・受遺者を指定することもできますが、手続きを確実に行うために、費用はかかりますが専門家(弁護士、司法書士等の士業者や信託銀行、当センター等の専門団体)に引き受けてもらうことを検討してみるのもよいでしょう。

3.遺留分に配慮する

遺留分とは、相続人のうち一定の者(配偶者、子、両親等)に認められる最低限の遺産取得分のことです。配偶者、子ならば法律で定められた相続割合の2分の1を、両親ならば3分の1を、それぞれ遺留分として請求できる権利があります。権利ですので行使しないという選択をすることもできます。

そのため、遺留分を侵害する遺言も一応は有効なのですが、遺留分を持つ者が権利を行使し、相続人・受遺者に対して遺留分を取り戻す請求(遺留分侵害額請求)を行った場合、相続人・受遺者はこれに応じなければなりません。できるだけ相続争いを避け、遺言の手続きをスムーズに行うためには、遺留分を侵害しない内容の遺言を作成することをおすすめします。

いざというときに頼れる存在を確保するためのポイント

終活においてやるべきことのうち、エンディングノートと遺言書について少し詳しく見てきました。

このうちエンディングノートについては託す人が大切ということ、遺言書においては遺言執行者を指定しておくことが重要なポイントの一つと解説しました。

その他、葬儀・お墓等についても、どのようにしてもらいたいかという内容もさることながら、それを自身の死後に実施してくれる人がいなければ成り立ちません。また、生前においても自身が入院したり、認知症になってしまったりしたときなど、誰かに頼らざるを得ない場合があります。

つまり、終活においては、生前から死後にかけて、いざというときに頼れる存在を確保しておかなければ、自身の考えや希望をいくらまとめても意味がないことになってしまうのです。

近年は家族関係が変容し、家族・親族にそのような対応を望めなくなりつつあります。兄弟は自分と同じように年を取っていきますし、甥姪はまず自身の親を支えなければならず、また仕事で多忙だったりすると、とても叔父叔母の支援まで手が回りません。家族・親族を頼りにできる方はよいのですが、身近に頼れる親族がいない、親族に負担をかけたくないという声は年々高まっているように感じられます。

そのような背景のもと、契約によって生前・死後のさまざまな局面において家族・親族に代わる役割を果たすサービスが出てきています。

一般的に、生前のサービスは身元保証サービス、死後のサービスは死後事務サービスなどと言われることが多いようです。サービスの引き受け手としては、弁護士・司法書士等の士業者やそれらを専門的に行う法人(一般社団法人やNPO法人等)が挙げられます。身近に頼れる親族がいない、親族に負担をかけたくないという方は、そのようなサービスの利用も検討してみてはいかがでしょうか。ただし、そのようなサービスを提供している事業者は数多く存在しているため、その中で信頼できる事業者を見分けることが重要です。下手をすると、自分が亡くなる前にその事業者が破綻してしまい、また一から事業者を探さねばならないということにもなりかねません。

そのため、そのようなサービスの利用を検討するにあたっては、自分が何をして欲しいのかを明確にし、その事業者がどのようなサービスをどのような料金で提供しているのか、それは自分の要望に応えてくれるものなのか、長期にわたってサービスを継続できる事業者なのか等について、じっくり落ち着いて考えることが大切です。

終活における当センターの活用ポイント

当センターにおいても前述の身元保証サービスや死後事務サービスを取り扱っています。

ただし、当センターでは、施設入居時や病院入院時の身元保証人(身元引受人、連帯保証人、緊急連絡先)を引き受ける身元保証サービスと、葬儀・納骨等死後のさまざまな事務手続きに対応する死後事務サービスとを組み合わせ、「総合身元保証サポート」として提供しています。

なぜ組み合わせているのかというと、いずれかのサービスを必要とする方は、もう一方のサービスも必要となることが圧倒的に多いからです。

例えば、身元保証サービスを必要とする方は、施設入居時や病院入院時の身元保証人を必要としている、言い換えると非常時・緊急時に対応してくれる存在を必要としている状況にあります。

その身元保証人を家族・親族に頼めない、負担をかけたくないということは、死後に迅速・機動的な対応を求められる手続き(特に葬儀対応)についても往々にして頼める相手がいないことが多いのです。

死後事務サービスを必要とする方についても同様のことが言えます。死後事務サービスを実際に提供するためには、本人が亡くなったことを速やかに把握する必要がありますが、通常、施設や病院における身元保証人がそれを最初に把握することになります。

したがって、その役割をきちんと果たしてくれる身元保証人がいなければ、死後事務サービスだけ備えていても意味がありません。そのため、身元保証人と死後事務を受任する者は同一であるほうが望ましいのです。これが、当センターで身元保証サービスと死後事務サービスを一体として提供している理由です。

それに加えて、当センターでは、上述の遺言執行者を引き受けるサービスである「遺言信託サポート」や将来認知症等で判断能力が低下したときに後見人になり、本人に代わってお金の管理等を行う「財産管理・任意後見サポート」も提供しています。

<終活でやるべきこと>の代表的事項には挙げませんでしたが、近年、認知症患者数が年々増加していることからすると、認知症への備えもまた「終活」における重要な検討事項の一つと言えるでしょう。

つまり、当センターでは、終活に大きく関わることになる3つのサービスを提供しているということになります。

この3つのサービスは、あわせて契約されるとより安心なのですが、優先順位を付けるのであれば、非常時・緊急時に対応してもらえる存在、あとを託せる存在の確保が最優先と考えられますので、まずは「総合身元保証サポート」のご利用の検討をおすすめします。

「遺言信託サポート」は、遺言書を残す必要性を感じなければ利用に至りませんし、「財産管理・任意後見サポート」は、大事なお金の管理を託す相手を選ぶものですので、相手がどのようなところなのか、少しお付き合いしてみてから利用を検討するほうが自然に思えます。

したがって、まずは「総合身元保証サポート」を契約し、その後必要に応じて「遺言信託サポート」や「財産管理・任意後見サポート」を追加契約するのが、当センターのオーソドックスな活用方法と言えます。

全体のまとめ

終活というと、エンディングノート、生前整理、お墓のことなど、自分自身がやらなければならないことに目が行きがちです。

しかし、自分が亡くなった後には葬儀の執行など必ず誰かに対応してもらわざるを得ないことがありますし、生前にも入院時や認知症発症時など誰かを頼らざるを得ない場面があります。

そのようなときに頼れる存在を確保しておくことは、実はまず始めに考えなければいけないことなのです。

身内の誰かがやってくれるだろうとの期待から、意外にここがしっかり固まっていない方が少なくないように見受けられます。いざ兄弟、甥姪にお願いしようとして断られてしまったという話もよく耳にします。

終活を検討する際には、いざというときに頼れる存在を確保することを忘れずに。

身内に頼れない、頼りたくない方は、法人が提供するサービスの利用を検討してみてもよいでしょう。

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