大切なご家族やご親族が亡くなったときの悲しみはとても深く、しばらく何も考えられないという方も多いことでしょう。
しかし、そのような中でも、死亡届の提出、葬儀社とのやりとり、健康保険証の返還、年金受給停止の手続きや金融機関への連絡・諸手続きなど、対応しなければならない届け出や手続きが数多くあります。
そして、そのような手続きが一段落したころに、故人が残した遺品の整理についても考えていくことになるでしょうが、何から手を付けたらいいのかわからないと悩まれる方も多いのではないでしょうか。
以下では、その遺品整理を行うときのコツや注意点、料金相場などについて紹介したいと思います。
目次
遺品整理でやるべきこと
1.遺品整理の時期
仏教では、人が亡くなってから、いくつかの節目で法要が執り行われます。代表的な法要としては、亡くなった日を含めて7日後に行う初七日、49日目に行う四十九日、一周忌などがあります。
初七日は、故人が三途の川に到着する日、四十九日は、極楽浄土に行けるかどうかの最終審判がくだされる日として、とても重要な法要とされています。
死後すぐに仏になると考える浄土真宗以外の宗派では、四十九日までの間は、故人の魂はあの世とこの世をさまよい、49日目に極楽浄土に旅立つと考えられています。そのため、遺族にとっても、四十九日は一つの節目となり、それまでは、結婚式などのおめでたい行事への参加を避けるのが、仏教が根付く日本社会の風習となっています。
遺品整理の時期については、上述したように四十九日までは故人の魂がさまよっているとされているため、しっかりと旅立ってから着手したほうがよいとの考えから、四十九日を過ぎてから行うということが一つの目安とされています。しかし、特にいつ始めなければいけない、ということはありませんので、遺族の都合にあわせて始めれば良いでしょう。ただし、故人が一人暮らしをしていた場合、住まいが賃貸なのか、持ち家なのかによっては、次の注意が必要です。
①賃貸の場合
そのままにしていると延々と家賃を支払い続けることになりますので、それを避けるためには、賃貸借契約の解約を申し出て物件を明け渡さなければなりません。したがって、その明渡期日までに遺品整理を終える必要があります。大家さん、不動産屋に賃貸借契約の内容を確認して、スケジュールを立てます。
②持ち家の場合
「いつまで」という期限はありませんので、遺族の気持ちや諸手続きが一段落してから始めれば良いでしょう。ただし、自宅の売却や譲渡を検討する場合は、賃貸のケースと同様に、その時期から遡って、スケジュールを立てる必要があります。
2.遺品整理の流れ
遺品整理のおおまかな流れは下記のとおりです。
①遺言書の確認
遺言書の中で、遺品について故人の意思の記載があり、法的にも有効とされる場合は、そのとおりに実施する必要がありますので、まずは遺言書の有無を確認します。
②遺品の仕分け
家具、電化製品などの大型家財道具と、衣類や雑貨などの比較的小さい小物類、アクセサリーや時計などの貴金属類、通帳や印鑑、契約書などの貴重品類に仕分けます。
③遺品の行き場を決める
②で仕分けたものを、それぞれ、形見分けするもの、買い取りや寄付などリサイクル、リユースするもの、処分するものにさらに仕分けます。
どのようにすべきか判断に迷うものは、一旦、保留品として分類して、その他の物品の仕分けが終わってから、あらためて整理すると良いでしょう。
遺品整理を行うときの注意点
前述したように、「遺言書」に遺品についての記載があれば、それを優先しなければならない可能性があります。
遺言書が保管されている場所を知らされていない場合は、貴重品や契約書など大切なものが保管されていそうな場所を探しましょう。銀行等の貸金庫に遺言書が保管されている場合もありますので注意してください。
また、遺言を公証役場で作成した場合(公正証書遺言)は、最寄りの公証役場で遺言の有無を検索することができます。遺品整理中に自筆で書かれた遺言書(自筆証書遺言)が出てくる場合もありますが、その場合は、家庭裁判所で検認の手続きが必要になりますので、開封しないようにしましょう。
また、親族間でのトラブルを避けるために、必ず、親族間で合意のもと、遺品整理をはじめましょう。
携帯やスマートフォン、パソコン内のデータなども遺品になりますので、中身を確認し、処分の際は、データを削除するなどが必要です。
遺品整理をプロに依頼した場合の流れ
遺品整理は、故人を偲び、お別れをする時間として、遺族にとって大切な意味がありますが、最近は遺族の高齢化や、遺族が遠方に住んでいるため、整理をするのが困難などの事情で、遺品整理の専門業者に依頼するケースも増えてきました。
プロの業者に依頼する場合の流れは、次のとおりです。
1.業者選びと見積り
現在、数多くの遺品整理事業者がありますが、残念ながら、法外な値段を要求する悪徳業者が存在します。そのような事業者を選ばないように、注意が必要です。
専門業者の中には、一般社団法人遺品整理士認定協会が認定する民間資格の「遺品整理士」の資格保有者を在籍させていたり、家庭から出る不用品を回収できる「一般廃棄物収集運搬許可証」を所持していたりする事業者もあります。そのような資格や許可を持っているかどうかは、優良業者を判断する上で一つの目安になるでしょう。
また、実際に事業者を利用した方の口コミ情報も参考になるでしょう。
さらに、事前に必ず、事業者に故人宅を訪問してもらい、荷物の量およびサービス内容・サービス範囲をお互いに確認したうえで、見積もりをとります。料金比較の為に3社程度の相見積もりをとることをお勧めします。
2.整理作業
作業当日は、あらかじめ決められた人数で、効率よく作業され、分別に手間がかかる不用品の回収、リサイクル品の買い取り、人形や仏壇などの引き取りと供養も行ってくれますので、遺族にとっては、かなり負担を軽くすることができます。
ただし、必要なものまで処分されてしまうこともあるため、前述した遺品の仕分け作業は、遺族で行うか、遺族立会いのもとで事業者に仕分けしてもらうことをお勧めします。
3.清掃(原状回復)
整理作業後は、多くの場合、事業者が簡易清掃を行ってくれますが、追加料金で、本格的なハウスクリーニングのサービスを提供していることも多いので、必要な場合は、事前に確認しておきましょう。
遺品整理の費用相場に関して
遺品整理を専門業者に依頼した場合の費用は、部屋の間取りや広さによって決められるのが一般的です。主な料金相場は以下のとおりとなっています。
・1K:3万円~/1DK:5万円~/1LDK:7万円~
・2DK:9万円~/2LDK:12万円~
・3DK:15万円~/3LDK:17万円~
・4LDK:22万円~
なお、同じ広さの部屋でも荷物の量が多いと、作業時間や作業員の人数、回収品を運ぶトラックの大きさや台数などが変わってくるので、料金が上がります。
また、作業の内容、範囲によっても料金が変わります。遺品の仕分け作業やごみの処分を可能な範囲で事前に行っておくと、費用が抑えられます。
多くの事業者では、リサイクル品の買い取りも同時に行ってくれますので、その分の費用は料金から引かれます。 作業当日になって、お願いできると思っていた作業が見積りには入っておらず、追加料金が発生してしまったなどのトラブルが起きないように、見積もりの段階で、具体的にお願いしたい作業を業者に伝えて、料金について、細かく確認しておきましょう。
全体のまとめ
従来、遺品整理は、遺族が行うものとされていましたが、現在は、専門業者が多数存在しており、専門業者を利用するメリットは無視できないものがあります。
遺族で行うにしても、専門業者を利用するにしても、遺品整理において、大切なことは、故人とゆかりの深い品、故人との思い出の品を、後悔することなく、しっかり整理することです。
冒頭でもお伝えしたように、遺品整理以外にも遺族には沢山のやるべきことがあります。少しでも、その負担を減らせるように、専門業者を上手に利用することも一つの方法でしょう。
また、信頼できる専門業者との出会いは、遺族にとってグリーフケア(深い悲しみを乗り越えるためのサポート)ともなり得ます。遺品整理を単なる作業と考えるのではなく、遺族の気持ちを汲み取り、寄り添ってくれる専門業者を選びましょう。
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